朝日歌壇で斬られる!

「朝日歌壇で斬られる!」です。
短歌のことを全く知らない男が
毎週月曜朝日新聞朝刊の朝日歌壇に掲載されている短歌を斬って捨てて
いつか失礼さをだれかに切り捨てられないかと求めるプロジェクトです。

詩の本や詩のイベントのレビューをとりあげるかもしれません。
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朝日歌壇で斬られる(8月6日朝刊)
先週、日曜版の朝日が手に入らなくて休んだ
朝日歌壇で斬られるですが、

前回、非常に鋭いツッコミが入った後で、
改めて今週を見ると、なかなか取り上げたい作品が減ってしまいました。

朝日歌壇で斬られるってなんですか?

毎週月曜の朝日新聞の朝刊(月曜朝刊が休みのときは日曜版)に読者から公募された短歌が選ばれて掲載される欄があります。
この欄のことを、朝日歌壇といいます。石川啄木など、日本の短歌を彩る様々な詩人が選者を勤めてきました。

「朝日歌壇で斬られる」、では、朝日歌壇に掲載された、多分すばらしいのかもしれないから、適当に歌をピックアップ。並べてみたり、好き嫌いを言います。
適当に歌を合わせて対戦させて見たりもします。

嫌いなものは嫌いというのもおいしくないので、多分好きなのばかりが選ばれます。で、何か言います。

もちろん短歌経験なんてありませんので、きっと、誰かが僕の間違った読みを叩いてくれるはず!!
と思いながら、かっこいいホワイトナイトを探すコラムです。


対戦は一つだけ。
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対戦:オセロVS前がかり

鰯の群紙折るように向き変えるを声上げて見る児童らの夏
(新潟市)伊藤隆

○ラテン語で思考してるに違いない日がな一日モモという亀
(松戸市)花嶋八重子

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この二つの歌の共通点は構造です。
一番最後の句で種明かし、それまでは観察。

相違点は種明かしされた結果です。
「声上げて見る」から調和的に「児童らの夏」を引き出した伊藤さんに比べ
花嶋さんは「モモという亀」という意外さを引き出します。
ここでの勝負は第三句目です。
「向き変えるを」と字あまりを選ぶ伊藤さんに対して、
「違いない」とさらりと流す花嶋さん。
どちらもテンポを遅くするための行為なのですが、
「ラテン語で思考してるに違いない」以降、2句目以前の修飾、種明かしと全てが遅くなる花嶋さんに比べ、
四句目で児童へ視点を移す伊藤さんの意図は曖昧です。
花嶋さんの勝ち。
それでも、鰯の群れが紙を折るようという比喩は正確なのですが。

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空席の住職やっと決まりけりこれで御医者が来て下されば
(宇和島市)今城保

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過疎の町を昔話風に描写することで、
後ろの医者を自然にかつ切実に映しています。
どちらが大切かというと、どちらも大切なのでしょうけど。
住職と書くことで、「けり」に自然さをだしているのでしょうか。

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演壇の声けなげなり恥ずかしくいえぬ言訳とくとく語る
(静岡市)篠原三郎

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佐々木幸綱先生の評が全てを言っているのでそのまま引用します。
「相次いで行われた大臣の釈明会見をうたっているようだ。ただの批判ではない。立場を生きる者を人間として観察している」
| ぐっさん | - | 23:58 | comments(13) | - |
朝日歌壇で斬られる(7月16日朝刊)
今週も、朝日歌壇で斬られる、行きます。
7月16日の朝刊より

朝日歌壇で斬られるってなんですか?

毎週月曜の朝日新聞の朝刊(月曜朝刊が休みのときは日曜版)に読者から公募された短歌が選ばれて掲載される欄があります。
この欄のことを、朝日歌壇といいます。石川啄木など、日本の短歌を彩る様々な詩人が選者を勤めてきました。

「朝日歌壇で斬られる」、では、朝日歌壇に掲載された、多分すばらしいのかもしれないから、適当に歌をピックアップ。並べてみたり、好き嫌いを言います。

嫌いなものは嫌いというのもおいしくないので、多分好きなのばかりが選ばれます。で、何か言います。

もちろん短歌経験なんてありませんので、きっと、誰かが僕の間違った読みを叩いてくれるはず!!
と思いながら、かっこいいホワイトナイトを探すコラムです。
過去日記を見るともう4ヶ月くらいやっています。

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今週はこの歌からはいります。

会えばまたあじさいの色深むごと思い濃くなる雨にぬれつつ
(佐倉市)船岡みさ

下の句の「OMOI KOKUNARU/AMENI NURETSUTSU」という、イとウで韻を踏んだ、3文字4文字3文字4文字と続くリズムが内容の直接さを救っています。
上の句から、文節ごとで切り刻むと音の数が「325232 3434」とうまく転調がきいていることも分かります。

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雑草と呼ばれています五弁花のちさきちいさき声に聴き入る
(夕張市)美原凍子

「雑草と呼ばれています」と花に言わせるという意識の持ち方がポイントです。
わざわざ「雑草」ということにより、小さい声にリアリティを持たせているという格好です。

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事務イスを軋ませる良き音のせり出産を終え職に戻りぬ
(市川市)星都

尻づくしの歌です。

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対戦は一つ
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○間引きとは悲しき言葉胡麻苗のはつか香るを畑に間引く
(蓮田市)斎藤哲哉

言い分のまだある妻が切断という音たてて菜を切る厨
(市川市) 藤樫土樹

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文脈の中からある一つの単語を立ち上げる歌を二首。
斎藤さんの歌は、一番初めに「間引き」で歌を挟み込むことで、言葉の印象を深めています。
これに対して藤樫さんは不吉な言葉を歌の中心に配置することで、「妻」の内面と日常を分割しようとしています。
もう一度「間引く」、と異なる品詞で閉じることで、味を出した斎藤さんの勝ちです。




今週はこんなところで失礼いたします。
| ぐっさん | - | 22:16 | comments(1) | - |
朝日歌壇で斬られる(7月9日朝刊)
今週も、朝日歌壇で斬られる、行きます。

朝日歌壇で斬られるってなんですか?

毎週月曜の朝日新聞の朝刊(月曜朝刊が休みのときは日曜版)に読者から公募された短歌が選ばれて掲載される欄があります。
この欄のことを、朝日歌壇といいます。石川啄木など、日本の短歌を彩る様々な詩人が選者を勤めてきました。

「朝日歌壇で斬られる」、では、朝日歌壇に掲載された、多分すばらしいのかもしれないから、適当に歌をピックアップ。並べてみたり、好き嫌いを言います。

嫌いなものは嫌いというのもおいしくないので、多分好きなのばかりが選ばれます。で、何か言います。

もちろん短歌経験なんてありませんので、きっと、誰かが僕の間違った読みを叩いてくれるはず!!
と思いながら、かっこいいホワイトナイトを探すコラムです。
過去日記を見るともう4ヶ月くらいやっています。

歌壇の中の歌で対戦をしようと思うのですが、今週は一つも対戦がしっくりくるのが来ませんでした。
三つ巴でお茶を濁します。

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対戦:同じ言葉

さねさし相模の涌き水父の日の父の手が汲むふるさとの水
(東京都) 柴田佳美

○島陰の福木並木に降り積もる花は鶸色海の鶸色
(沖縄県) 和田静子

このビルの屋上にいるは誰ならん向かいのビルに影映しつつ
(仙台市) 坂本捷子

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「同じ言葉」というあいまいな言葉があります。
同じ読みと同じ字の言葉のことです。
今回取り上げた歌はすべて「同じ言葉」を二度使うことで、
反復という詩の効果を生み出そうと試みています。
ただ、「同じ」という程度に違いがあります。

柴田さん。「相模の湧き水」と、「手が汲むふるさとの水」。
言葉が同じ、水の出所が同じ、ただし「相模」と「手」です。
大きさが違う。角度が同じで辺の大きさが異なる、相似に見えます。
「さねさし相模」(さねさし、は相模の枕詞です)と「ふるさと」
に挟まれて父がいるという構図になります。

和田さん。「花は鶸色」と「海の鶸色」。読みは「ひわいろ」です。
http://www.colordic.org/colorsample/2143.html

これについては、言葉が同じで、出所が違います。
ただし、「花」については助詞の「は」を使っているのに対し
「海」については助詞の「の」を使っている点が注目されます。
これは、「花の鶸色」が「海の鶸色」に含まれていることを示しています。
海から生まれた色が花の形で島に降る。ということで、
島と海とがおんなじ一つのものになります。

坂本さん。「このビル」と「向かいのビル」。
ここで二つのビルは併置されている以外の捉えようがありません。
この歌では、ビルという音の響きだけ浮かび上がることになります。

私は一番最後まで言いたいことを引っ張った、
和田さんの歌が一番印象に残りました。
「島陰の/福木並木に降り積もる花は鶸色/海の/鶸色」
という「オ」音の使い方が意味を中心に纏まっていていいなと思いました。


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土手の道飼主同士がその犬の通訳している猫なで声で
(東京都) 高須敏士

どしゃぶりにならないのかな。
| ぐっさん | - | 23:05 | comments(0) | - |
朝日歌壇で斬られる(7月2日朝刊)
最近隔週になってしまって、夏ばて気味ですが、今週も朝日歌壇で斬られる、お送り致します。
毎週月曜日に、歌を選び、火曜日に書くのがポイントだと最近知りました。


今週は一つも対戦がしっくりくるのが来なかったので、
三つ巴でお茶を濁します。

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今週の対戦 雨三首

夕立がお詫びのように鹿島槍野口五郎に虹を掛けたり
(神戸市) 北村行生

スマトラの森は一時楚々として雲より恵む水滴を食む
(マレーシア) 関澤元史

○こんな日はだあれも来ない 雨のあときまって霧のからまつ林
(山形県)清野弘也

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雨を人に例えるものと、雨の受け入れ先を人に例えるものと、雨すらないもの。
英語の時制的には過去形と現在形と過去完了。
どのように使っても詩の価値は変わらないのだけど、一番初めにどの使い方でいいものを書くかによって、詩の書き方がかたよりが出ます。
それぞれが相手の雨の使い方をした歌を見たいと思います。
私は「だあれも来ない」で一度ゆるめた空気に雨の風景で画鋲を押した清野さんをとりました。
このチョイスだってある種の選び方なのです。

おそらくスペースを一つとって間を空けることで、関澤さんの音の悪さと、
鹿島槍野口五郎とくる山を見ない人にとっての意外さを避けれたとか書くのでしょうが、
僕の選択の一番根底にあるのは、象徴を追う姿勢だけです。


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炎天にトマト畑の草取りは一升びんの水飲み干しぬ
(沼津市) 岩城英雄

労働は量なんですといいたげに、水を一升びんとしたのが、事実だとしてもいいです。

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母の日のプレゼントなる空の旅吾子に会いにと飛んでゆくなり

(宮崎市)山口とし子

「母」と「吾子」(あこ)の頭韻が、歌の切れ目と早さの全てを決めています。
| ぐっさん | 朝日歌壇 | 21:06 | comments(0) | - |
朝日歌壇で斬られる(6月18日朝刊)
朝日歌壇で斬られるは
先週朝日新聞を手に入れられない!という事態によって
やすみました。
休むときはこんなもんです。おかげで何冊か本が読めました。

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1回戦 緊張の解き方

●おふろやだおきがえやあだねんねやだ二歳は首をふりふり叫ぶ
(東京都) 鶴田伊津

○閑古鳥楝野茨桐の花先祖累代十九代目
(豊中市) 佐藤文子
※楝(おうち):センダンのことです


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2回戦 絵の描き方
●初夏の樹々のさやぐを聴いている背なの広さや考える人
(東京都) 長田裕子

○じっと眼を凝らせば形見えてくる青葉の中の青きオレンジ
(アメリカ) 中條喜美子

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1回戦。
ひらがなで音声を表し、漢字を交え描写を表す「おふろやだ〜」
上の句と下の句の対比ができているのですが、
上の句で十分この子が幼児であることが見えています。
漢字だらけの「閑古鳥〜」で使われている単語の種類訳をすると

・「閑古鳥」 (5音)
・「楝野茨桐の花」 (12音)
・「先祖累代十九代目」 (14音)

どの言葉がつながっているか分からないけれども、
一番最後の「先祖累代十九代目」が文字の量として
下の句の文字数を超えてどっしりしています。
佐藤さんの構成勝ちです。

2回戦。
長田さんの歌は形に例える歌。
背中を考える人に例えるのはいいのですが背の曲げ方が不健康なのが考える人の弱点。
ジャコメッティくらいいってくれれば、不思議になるのだけど。
ロダン http://www.new-york-art.com/mus-rodin.htm
中條さんの歌は絵の描く歌。
じっと眼を凝らすために必要な距離がどれくらいかを考えると
この歌は印象派に見えてきます。ただ、こちらは若干説明的。
どちらかというと、説明的に見えるのは、「青」の置き方が悪いせいか。

正確さで中條さんの勝ち。

| ぐっさん | 朝日歌壇 | 22:49 | comments(0) | - |
朝日歌壇で斬られる(6月4日 朝刊)
すいません。
編集が遅れました。

最近対戦に固執して、自分の好きなものについて話せなかったので
今週は対戦は一つだけ。

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対戦:数えるということ
連休は晴れて始まり帰省して子らと数える田植機のかず
(栗東市) 山口晶子

VS

○次々と障子に吾子が開ける穴高くなりきて初夏の日入る
(東京都) 柴田佳美

数えているにもかかわらず、数を書かないという選択をとった二つの歌。
以前の朝日歌壇でも、いくつか数字のある歌をとりあげました。今週もこういうのがあります

海彼より持ち帰りたるチェリー種二寸程伸び初夏に入る
(舞鶴市) 吉富健治

比喩を拒否するような数字を入れることで具体性を高めるのは、詩だけではなくプレゼンテーションの基本でもあります。
この二つの歌はどうやって基本から抜けようとしたかというと、「連休は・・・」上の句で取り上げられる「帰省」というテーマ、「次々と・・・」は「高くなりきて」という表現です。
高くなるということが、数を表すとは別の具体性を示しているため、柴田さんの勝ちということになります。
ただ、ここでは、数える物をどのように選ぶかも勝負のポイントになっています。
田植機と同じように数えられる名詞である子供は複数の可能性を持つのに対し、穴のカウンターラインに据えられている太陽は一つしかありません。

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たけのことフキの吹いたん食べてくれるチェリーもイチゴも嫌がる母が
(池田市)祖一順子

甘味VS旨味。「フキの吹いたん」という口語を選ぶのがポイント。

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「御召列車」の発着ありし原宿のゼロ番ホームに蒲公英はびこる
(東京都) 相川雅信

東京ローカルなので選びました。
原宿駅のゼロ番ホームは天皇が明治神宮に参詣する際に使われるホームで、通常使われることはありません。
ただ、一番ホームから眺めることができます。野ばらさんはこういうの書くんでしょうかね。
とおもったら、
朝日歌壇鑑賞会のほうからものすごいツッコミが。歌に心を託すって難しい。カギカッコで「御召列車」を囲んだのがポイントか。
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| ぐっさん | 朝日歌壇 | 01:16 | comments(0) | - |
朝日歌壇で斬られる(5月28日朝刊)
朝日歌壇で斬られるはいい加減斬ってくれる人がいないと
頭が痛いコラムです。

先週、灰色くんから、ラップも奇数が強いという話を聞いたという話をしました。
少しだけ調べました。サンプル数が少なかったり、THA BLUE HERBは無理だろと思いながら。

ZEEBRAの「Street Dreams」をネタにやってみました。
一応リスニングした結果とうたマップの歌詞を元にやっています。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=B09591

はじめの二行だけ。リズムの取り方に注目して、スペースを空けています。

ただ マイクにぎりたくて 夜な夜なガムシャラにブラザ’ 達かきわけて
あれはナインティナインティ やたらとファンキー だけれども ただのバンピー


分解すると、2音9音12音7音11音8音5音7音となります。

※ただし、一行目は「ガムシャラ」のガで声を重ねているので7音5音とも取れます。

このフロウだけを例にすると、奇数によって言葉のリズムを取ろうとしている可能性が示唆されています。
もう少し調査します。誰かかわりにやってください。

毎週やっている朝日歌壇より二首取り上げて勝ち負けを決めていきます。
○が勝ち、●が負けです。それでは。


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一回戦 こんにちは言葉さん
●瞼閉じ一つ言葉を捜しおり逆引き広辞苑引くがごとくに
(春日井市) 久瀬昭雄

○わたくしの視野へようこそはじめての顔なれば繰る野鳥の図鑑
(新潟市) 大田千鶴子

※繰る(くる)

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二回戦 ディテールの重ね方
●わらび汁こごみ葱の芽草食に目の角取れて山羊に似てくる
(山形県) 清野弘也

○父と母山ではぐれたる話などおまけにつきて早蕨届く
(佐倉市) 船岡みさ
※早蕨(さわらび)

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三回戦 山と谷
●ガソリンの給油を終えし霊柩車朝のラッシュにすべり入りたり
(アメリカ) 西岡徳江

○最上の棚田一枚残しきてここだけ苗は渦巻きに刺す
(福島市) 澤正弘

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一回戦
内向きに広辞苑を引いている久瀬さんの歌は、「瞼閉じ」という丁寧さが強く後を引きます。
それに対して太田さんの歌は「わたくしの視野へようこそ」と気取った始まりから「図鑑」をめくるまで騒がしさが前面に出ています。
「瞼閉じ」の音の丁寧さにも惹かれますが、雄雄しさで「わたくしの…」の勝ち。

二回戦。
清野さんの歌は、草食を意識するのに単語二つ。
山羊を引き釣り出すまでに「目の角取れて」と草食からでる「おっとりさ」を丁寧にディテールとして重ねています。
これに比べて船岡さんの歌はディテールが少ないのですが、「父と母山ではぐれたる話」が昔話のように聞え、読ませ方を心得えています。
船岡さんの勝ち。
「など」によって父母からの便りの続きを気にさせる辺り、真似したいです。


三回戦。
上の句の一番最後、字面としても真ん中に「霊柩車」とおいて、霊柩車以外は普段の朝の西岡さん。
これに対して澤さんの歌の真ん中には「ここ」があります。
「最上の棚田」をさらに強める「ここ」
霊柩車がエアーズロックのように聳え立つのに対して、「残し」て、「ここ」だけはと粘り強く感じる澤さんの勝ちになるのであります。

さて。澤さんの歌について。
何故渦巻きに田植えするのかと思って調べてみると
新潟県佐渡島などでは車田植えといって、奈良時代から続く神事とのこと。
田植え歌を歌いながら行われるそうで、
以下のリンクで田植え歌についても載っています。

リンク2

| ぐっさん | 朝日歌壇 | 23:54 | comments(0) | - |
朝日歌壇で斬られる 5月21日朝刊
こんにちは。
斬る人もいない「朝日歌壇で斬られる」。

毎月第3日曜日に朗読会が行われている高田馬場Ben's Cafeのゲストだったラッパーの灰人さんが、話の中で「ラップの強い人は奇数で韻を踏んでくる」とおっしゃっていました。
でも適当なサンプルをだすとBlue Herbとかは偶数句が多かったのです。でも、いまZEEBRAを聞いていたら、伸ばしたりして結局奇数句になるということが分かるので、来週までにどうにかします。

でもこの話はラップをしてくれている方に教えて欲しいです。

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一回戦 大きな言葉で
●立ち入れば浅蜊次々初夏を吐くきのう大潮朝の厨房
(名古屋市) 藤田恭
※浅蜊(あさり)


○山峡の村に初孫生まれけむ鯉堂々と中空に在り
(熊本市) 近藤光弘
※山峡(やまかい)、中空(なかぞら)

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二回戦 他人事のように
○すしづめだぞもう乗り込むなとねめつけるラッシュアワーは牛建陀多(カンダ
タ)

(東京都) 民辻善史郎
※牛建で一文字です。牛建陀多(カンダ
タ)

●古狸夜ふけてジャブジャブ音を立て池の金魚を根こそぎ喰いつ
(埼玉県)柳田主於美

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三回戦 止めるか流すか
●生木焼べ山女飯炊く山神祭釜主屈みまず口漱ぐ
(渋川市)蓼科麟太郎

○殺戮の銃が自由に手に入る自由の国の不思議な自由
(川西市) 北浦勝

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一回戦。浅蜊次々で、音数に対して字面が少ない藤田さんの歌、このまま続く「初夏」まで一息に読んでしまいましょう。「鯉堂々と」の堂々は下の句の始まりとしてきっちりはまった近藤さんの歌。勝負の分かれ目はフォローアップにあります。大潮を強調せずとも、すでに夏の勢いのに対し、「中空」でコイノボリを決定付けた近藤さんの勝ち。

二回戦。カンダタは芥川龍之介『蜘蛛の糸』で出てくる盗賊の名前です。上の句で字余りやザ行、マ行、ナ行で口をすぼませる言葉を選んで突っかからせ、下の句ではア行の多用と比喩で総括するという見やすい構図。
自分の金魚を食われたと見える柳田さんはむしろ眺めているだけに見えてきてしまうのは、「古狸」と「ジャブジャブ」で調子を整えたためか。

三回戦。A音を頭に置いて各句の調子を整え、最後の句で「まず」、と呼吸を置いて「口漱ぐ」と流れと時間を表す蓼科さん。
対する北浦さんは「銃」と「自由」を掛けて全部でU音が全部で11個。「U」は単語の最後に来ているから、脚韻気味なのもポイントです。
相反する(と歌人が思っている)二つの言葉を溶かした北浦さんの勝ち。助詞と「手に入る」に比べて全く重要でない「手」以外の全ての単語にUが入るから、早口言葉で3回言うと「銃」と「自由」が溶けていきます。
| ぐっさん | - | 06:35 | comments(0) | trackbacks(137) |
朝日歌壇で斬られる(5月14日朝刊)
折り返しはあいうえお作文だといわれてしまうとやっぱり即興詩に進むことを考えてしまいます。失敗をおそれてならぬ現代詩裾野を広げる止まらぬ営業精神で行きたいと思います。
雑草が生える前に斬り捨てて欲しいと願う「朝日歌壇で斬られる」です。

一番初めにこの歌の話。

祖父・父が交配つづけし金魚なり祖父の眼をして子が飼いている
(茅ヶ崎市) 相沢孝七

「祖父・父が」を「祖父と父」と読んでいて、上の句が「I」の脚韻、下の句が「O」の頭韻でうまく後ろの「祖父」が浮かび上がるかと思っていたのですが、そうではなく、また、「祖父と父が」、と代を重ねることを強調するでもなくあくまで短歌のリズムで流していて、助詞があるという日本語の構造が脚韻の少なさを規定しているのかと思いました。でもボクは「祖父と父」にしますが。


さて、いつもどおりの対戦。

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一回戦 動物二つ
○コンビニで飼われる亀は来客に撫でられ褒められ優しき眼をする
(町田市) 古賀公子

●望遠鏡ピンと伸ばしてかたつむり庭のすみ辺で行く手さがせり
(桜川市) 田中要

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二回戦 練習は大切
○芸を追え水に戻ったセイウチはホッケをごぼごぼ出し食べなおす
(北海道) 佐藤拓子

●しあわせを探すが如き潮干狩り腰を屈めて俯き掻くは
(蒲郡市)古田明夫

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三回戦 下の句が命
●桜咲くお堀端自転車で駆け抜ければ大阪城は私のお城
(川西市)市森晴絵

○木漏れ日のあふれる道を君と行くモンシロチョウに先を越されて
(京都市)敷田八千代

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一回戦。だんだんと人になっていく黒い眼のために24字かけた方の粘り勝ち。

二回戦。水族館ではアジかホッケをあげるそうです。ホッケを選ぶと居酒屋にあるのでうまく吐くと結びます。「ごぼごぼ」の音が切実です。
「しあわせを探すが如き」は音韻として滑らかなのですが、下の句の描写が少し説明的に見えます。「潮干狩り」で歌を20首くらい作るとき、一番初めにおくととてもいいのかな。

三回戦。下の句の勢いを生かすよりも「お堀端自転車で駆け抜ければ」を字あまりを選ぶのはのどかな光景を出すための字あまりでしょうか。ただ、仮定法を使うよりも本当に駆け抜けてしまった方がお城持ってますという気になるんじゃないでしょうか。「オホリバタジテンシャ」で疾走間が失われているのも残念。
| ぐっさん | - | 00:53 | comments(0) | trackbacks(1) |
朝日歌壇で斬られる(5月6日)
朝日歌壇。気づいたら10回目になりました。
誰も止めてくれないのであっさりいきます。
朝日新聞の毎週月曜朝刊、または日曜に掲載される朝日歌壇の歌を
適当に取り上げて適当にいろいろ言います。
今は二つ取り上げて対戦させてみる形式をとっています。

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一回戦 私と外と

スーパーの監視カメラに映されし吾のまぬけな顔の淋しさ
(横浜市) 三浦美智子

○ひとつだけまだ揺れているブランコが右からにばんめというしずけさ
(高槻市) 有田里絵

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二回戦 さくらとこども

満開のさくら仰げば守られて母とひとつでありし日の風
(松山市) 瀬戸順治

○立て抱きする乳飲み子が見つめいしうえからしたへ散り行くさくら
(福岡氏) 宇梶晶子

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三回戦 とんでいく着実さ

越前の浜の悲しみ蛍烏賊身投げのごとく押し寄せる見ゆ
(新潟市) 岩田桂

○滝桜枝のその先その先に命送りて老いの華やぐ
(郡山市) 新沢綾緒

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一回戦。怖いほうが勝ち。僕には勝った方が怖いです。異論反論は常に受け付けます(w

二回戦。字が足らずにリズムに乗り切れない宇梶さんの乳飲み子の視線の描写のほうが、A音の多用でリズムを出している瀬戸さん自身の視点に比べ真実を感じさせるように見えます。「うえからしたへ」がいいと思います。

三回戦。「身投げ」という言葉で速さを出す岩田さん、「その先その先に」とむしろ速度を落とす新沢さん。正直点数付けたすぐ後に後悔しそうなほど、鮮やかです。
強いて言えば「その先その先に命送りて老いの華やぐ」でOを多用してリズムを出して軽くしている。新沢さんの勝ちに見えます。

最近からだが31字に慣らされてきていて、少し怖いので、城戸朱理をよんできます(w
| ぐっさん | 朝日歌壇 | 23:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
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